テクノDJがみるアインシュタイン特殊相対性理論(2)

  • LINEで送る

Albert-Einstein

前回、僕なりの解釈で「ガリレオの相対性原理」と「光速度不変の原理」をみてみました。アインシュタインの特殊相対性理論はこの2つの理論がベースに成り立っています。この2つの理論を用いてどのような思考でアインシュタインが相対性理論を導きだしたか、テクノDJの僕が肉薄します。

ちなみにこの舌だしアインシュタインは1951年3月14日に彼の72歳の誕生日パーティーの時に撮られたものです。プリンストンのクラブで行われた誕生日パーティーの後、アインシュタインが車に乗り込もうとした時にカメラマンの1人が「笑って下さい。」と注文とつけたら即座に「舌だし」したそうです。マスコミを嫌悪することなくいつもユーモラスに対応していたそうです。科学者史上、最も写真を残したとも言われているそうです。

特殊相対性理論が発表された当時の科学界の常識「エーテル」

2つの理論を合わせて時間の遅れをみる前に当時の科学界の状況を見てみたいと思います。19世紀末の科学の常識は、ある「物質」が宇宙全体満ちていると考えられていました。その物質は「エーテル」と名付けられ科学者達はその存在を確信し、エーテル探しに躍起になっていました。エーテルの存在を定義する必要があったのは、光が波としての性質を持つ「波動説」が唱えられていたためでした。音が空気を伝わって聴こえる様に、海の波が水を伝わって海辺に届く様に、光も何かの媒体があって波として伝わっているはずだと考えられた訳です。その媒体を「エーテル」という架空の物質と仮定し、そしてその存在を確信しエーテル探しに科学者は精を出していました。

このエーテルはどのように捉えられていたかというと、まず「波」というのは硬い物質である程速く伝わる性質があるので光程の速さを生み出すにはめっちゃ硬くないと駄目です。その上僕がレコードが1分間45回転させるためにもエーテルの中を違和感なく通り抜けられないと駄目です。なのでエーテルの定義は「めちゃめちゃ硬い剛性を持ち、なおかつ私たちが通り抜けられる弾性体」であるために不思議な性質を持つ物質になります。ツンデレってことです。矛盾した物質ですが当時の科学者は「状態によってさまざまな性質を示す」と解釈し興味津々にその存在を確信したそうです。ツンデレに惹かれるのと同じ理由です。19世紀になってからトーマス・ヤングやフレンネルによって光は波動性があると確認され、マックスウェルによって「光は電磁波である」と結論づけられたので「光は波だ!」と全く疑問のないレベルまで常識として確立していました。

マイケルソン干渉計

〜ウィキペディア〜

そんな中1881年にマイケルソンとモーリーが行った実験でエーテルを検出可能と確信していましたが大事件が起こってしまいます。この実験で使われた装置は写真のようなものです。例えば手前から奥の鏡に向かって光を放つと、真ん中の斜めに設置した鏡で左側の鏡に向かう光と奥の鏡に直進する光と2つに分かれます。まず左側の鏡で跳ね返った光はそのまま真ん中の鏡をすり抜け右側に向かいます。さらに奥の鏡で反射した光が真ん中の鏡で直角に折れ曲がり左側の鏡に向かいます。左側の鏡に反射した光が再度真ん中の鏡をすり抜け右側に光が向かっていくような仕組みです。上からみるとちょうど十字になった光が見える様になります。この右側に向かった2つの光に対して検出装置を置いて測定しました。

何を測定したかというと、もしエーテルでこの宇宙が満たされていると仮定すると地球は公転しているので進行方向とは逆向きにエーテルの風が吹いていることになります。そのため地球の進行方向と同じ方向に光が進んだ時、少なからずエーテルの影響を受けて速度が遅くなると考えられた訳です。地球の公転速度は光の速度の1万分の1ですがこの装置は非常に精密に出来ていたため観測可能でした。どのような観測結果が出ると「光が影響受けた」と結論づけられるかというと、この装置では右側設置された検出器に2つの光が向かう訳ですが、地球と同じ進行方向に向かってエーテルの風に影響を受けた光と、もう一方の直角に折れ曲がりエーテルの風の影響を受けない光が同じ干渉計に戻った際に、エーテルの風の影響を受けて速度が遅くなっただけ2つの光はずれが生じるために干渉(2つの波が重なった時に山と山、谷と谷が重なると波が強くなったり、山と谷が重なると波が弱まったりする現象。光の場合は明るくなったり暗くなったりします)を起こしたら、「光がエーテルの影響を受けた」となる訳です。

しかし、実際は光はエーテルの影響を受けませんでした。どの方向に光を放射しても全く干渉が起きず速度に変化はありませんでした。これは当時の物理学会には衝撃でした。光が波である以上どうしてもそれを伝える媒質が必要な訳でこれが検出されないのはあり得ないことだったからです。この結果をなんとか証明しようと物理学者達はエーテルの存在を残しつつマイケルソンの実験に熟考を重ねます。ただ一方で既に光は1861年のマックスウェルの「電磁波の方程式」で定数Cとして導かれており、どんな立場でも光の速度は不変と発表されていました。しかしこの「定数C」に物理学者は見向きもしなかったのです。多くの物理学者がこのエーテルが検出されなかったことに苦慮しているなか、アインシュタインはこの問題に対する答えを引っさげて登場するのです。

それまでの物理学の常識で考えると、どうしても光の「波」を伝えるにはエーテルの存在が不可欠でした。しかしアインシュタインは実験結果をありのまま受け入れこう考えます。「エーテルいらない。存在しない。」と。なら光はどうしたら伝わるのか?という問いにアインシュタインは、光は波であるが、粒である性質も持ち合わす「光量子説」を唱えます。波ではなく粒であれば媒質の存在は必要なく光は伝播できるという(これはプランクのエネルギー量子仮説をもとに彼が生み出した理論です。詳しくは後述する量子力学にて)光に対する新しい見解を表明します。

そしてアインシュタインはマイケルソンの実験結果や、マックスウェルの方程式で導かれた光速度一定という結論もありのままえ受け入れ、それまでのガリレイの相対性原理もありのままで受け入れまったく新しい理論を提示するのです。これにより今まで考えられていた常識、時間や空間の概念を一変させる驚きの結論が導かれるのです!

ガリレオの相対性原理+光速度不変の原理=時間が遅れる!?

光速度一定の結論とガリレイの相対性原理をありのままで受け入れるとどうなるか?頭の中で実験することで例えば次のようなことが起こります。

SHURE-M44G
頭の中の実験なのであり得ない設定ですが、まず、ShureのM44Gのカートリッジを購入して針とかカートリッジを筒の中から出して普通にターンテーブルに装着します。残るは筒状のケースなんですが、この筒の長さを約30万kmに延ばします、頭の中で。そしてこの中を真空にします、頭の中で。これを縦にして下端にライトを付けます。そうすると下端のライトのスイッチを入れて光が上端に到達するとちょうど1秒で上端に到達します(光は秒速30万kmのため)。これがよく言われている「光時計」です。そして更に想像を進めさせてもらいますが、月面でヒップホップのDJが針交換しこのShureの光時計を縦に置きます。そして宇宙空間を見上げるとそこにはガラス張りの宇宙船があり、その中にテクノのDJが同様に針交換をして(ここはConcorde Goldと言わずM44Gで)同様にShureの筒で作った光時計を置きます。そしてこの宇宙船は高速の75%(秒速約22万3500km)で進むとします。

お互いが選曲でもしつつ、一緒のタイミングで光時計のライトのスイッチを入れます。そしてその瞬間にテクノDJを乗せた宇宙船もヒップホップのDJからみて右側に動きだすとします。思いっきり初速から光速の75%で!

光時計

光時計の遅れ〜村山 章氏

この状況でそれぞれの光時計を見ているとどうでしょう?まず静止しているヒップホップDJの光時計の光は当然に下端から上端に光が届くのに1秒になります。まぁ、動いていないので当然ですね。また、テクノDJがみる船内の光時計の光はガリレイの相対性原理に従い、進行方向の逆に取り残されずにやはり真上に進みます。従ってテクノDJがみる光時計も上端まで光が到達すれば1秒です。では、ヒップホップDJがテクノDJの光時計をみてみるとどうでしょう?右方向へ光速に近い速度に飛んでいるので光の軌跡は斜めに傾きます。斜めに傾いている分、光時計の高さ(約30万km)よりも長くなります。

ここで光速度不変の原理を思い出すと宇宙船の光はヒップホップDJからみても秒速30万kmで進みます。そうなるとヒップホップDJの光時計が上端に達し1秒になった時に、宇宙船のテクノDJの光時計の光をみると斜めに進んで30万kmよりも長くなっているためにまだ上端に達していません。もう少し言うと、日常レベルの感覚だと宇宙船の光は30万kmと横に進んでいる分の速度が合成されて速くなり、たとえ斜めに傾いて光が進んでその距離が傾いた分、長くなったとしてもヒップホップDJの光時計と同様にテクノDJの光時計の光も上端に同じタイミングで到達する様に思えます。しかし、光速はどんな状態でも常に30万kmなので速度合成はされず、ヒップホップDJからみたテクノDJの光時計の光は斜めに傾いて距離が伸びた分、ヒップホップDJの光時計が上端に達して1秒を示した時、まだ上端に達していないのです。

宇宙船が光速の75%で進んでいる場合はヒップホップDJの光時計が1秒を示した時、ヒップホップDJがみるテクノDJの光時計はまだ0.66秒しか経っていません。静止しているDJの光時計が1.5秒経った時、静止しているDJがみた光速に近い速度で動いているDJの光時計はやっと1秒を示します。つまり、光速度が不変と考えるとこのように時間が遅くなるのです。これはとても奇妙ですが凄いですよね?時間が遅れちゃうんですよ。光速に近づけば近づく程に!そしてアインシュタインはこの思考実験をありのまま受け入れ「時間が遅れる」と結論づけた訳です(もちろん彼はちゃんと方程式で導きだしていますが僕はみても難し過ぎて分からなかったので割愛します)。ニュートンが古典力学を打ち立て200年間もの間、皆が信じて疑わなかった時間と空間が変わらないという絶対基準をアインシュタインは否定するのです。時間が遅れるって受け入れちゃうところがもう発想がヤバいと思うのです。

ヒップホップDJからみるとテクノDJの時間が遅れることになりますが、これは見かけだけでなく実際に時間が遅れるのです。これが相対性理論の結論です。

宇宙船の動く速度によっては、もし聴けるならヒップホップDJからみるテクノDJの曲のBPMが120〜130から遅くなり90くらいに聴こえるかもしれないです。ヒップホップの曲のBPMに近づくのでピッチ合わせなくてもミックス出来きますね。実はさらに面白いことにテクノDJを基準にみるとヒップホップDJも光速で近い速度で移動していると言えます。すなわちテクノDJからみるヒップホップDJの光時計も遅れて見えるのです。ヒップホップからダブステップくらい遅くなっている訳です。通常はテクノDJの時間が遅れるといった場合はヒップホップDJの時間は進んでいるというのが常識に思えますがそうはいかないのです。これは次回の「同時刻の相対性」でまた思考実験したいと思います。

ガリレイの相対性原理を引き継ぎニュートンが基準にした、時間と空間が絶対変わらない「絶対空間」「絶対時間」がアインシュタインによって否定され、観測者の立場によって時間や空間の尺度が変わるという結論を導き出しました。ニュートンが持っていた「時計」をぶち壊し、時空間の概念を一変させます。

テクノDJがみるアインシュタイン特殊相対性理論(3)

※参考文献、メディア

  • アインシュタインの世界〜天才物理学者に関する60の疑問〜 平井正則 監修 三品隆司+studioHETERO編 PHP研究所
  • GRAPHIC SCIENCE MAGAZINE Newton〜2011/12 光速C、2012/03 タイムトラベル〜 株式会社 ニュートンプレス
  • National Geographic Channel, Discovery Channel
  • LINEで送る

“テクノDJがみるアインシュタイン特殊相対性理論(2)” への1件のフィードバック

  1. […] テクノDJがみるアインシュタイン特殊相対性理論(2) […]

コメントを残す

サブコンテンツ

Links

facebook soundcloud Ustream tumblr myspace

Calendar

2016年12月
« 5月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

このページの先頭へ